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一言半句
-Diary-

平成二十二年 如月
-February, 2010 -


二月七日

面会 @2010-02-07

午後におふくろの面会。

涼しい顔をして黒飴を舐めていてびっくり。食間に低血糖が起こるそうで、食前の速効型インスリンを 8 単位から 6 単位に減らしたがそれでも低い傾向があるため、たまに舐めてよい、と許可をもらったとのこと。それならいいがあまり食べ過ぎないよう釘を差しておく。

理学、作業、言語の各療法の訓練を見学して欲しいという。確定申告関連で外出の許可をもらうにあたり、回復状況を確認して欲しいようだ。転院から約二週間経つことだしいい区切りなので引き受けることにする。

とっとと済ませるべく明日から。


二月八日

リハビリ見学 @2010-02-08

昼、リハビリの様子を見学するため病院へ。今日は言語療法と理学療法の訓練を見る。

言語療法見学

まずは二階の言語療法室へ。担当は K さん。テーブルを挟んで向かい合い、課題を解いていく。出された課題は以下の形式。計約四十分間。

  1. 点と点が線で結ばれだ図を見ながら、点のみ打たれた図をもとに線を引いて模写する作業
  2. ランダムで碁盤の目のように整列している数種類の記号の中から、一つの記号を全て探し出す作業
  3. 三十ピースほどのパズルから中央の二十ピースほどを抜き出し、これを元通りにする作業
  4. K さんとのしりとり
  5. 1〜30 まで、30〜1 までを数える作業

この訓練全体を通して感じられたことは、与えられた課題を行き当たりばったりでこなしていること。作業の効率を考えている様子は一切ない。教わると多少早くはなる。また集中力、注意力に欠ける様子。そのせいか俺が取り組めば一分で終わる作業を三分五分とかけ、抜けや見落としも起こる。始めた頃よりはずっと上手くなっているとのことだが、新しい作業であれば元の木阿弥だろう。

言語療法の時間に言葉以外の課題をしてるのは、少し前から判断力、注意力、忍耐力が著しく落ちているため。J 病院の精神神経科を受診しているのでそれを受けてのこと。右前頭葉の脳梗塞が原因とにらんでいるが詳細は不明。

中休み

言語療法の訓練が終わり、次の訓練まで一時間半の空きがあるので一旦病院を出て雑用をこなす。そろそろ病院へ戻ろうとしたとき「入浴が先になった」との電話が入り、さらに一時間の空白。別の用事で消化後、病院へ戻る。

理学療法見学

理学療法訓練のため一階のリハビリ室へ。担当は S さん。室内はさまざまな器具や施設が並んでいる。あおむけで腰を浮かせる準備運動のあと、台に座り以下の動作。

  1. 台に座り、組んだ両手を示されたところまで伸ばす作業
  2. 左脚を下に脚を組んで、同じ作業
  3. 腕を組んで交互に腿を上げる作業
  4. 膝まで固定した状態から交互に脚を上げる作業

次に平行棒へ移り以下の訓練。

  1. 歩行時の足の運び方
  2. 直角までの膝の屈伸

壁を伝っての横歩き動作を行ない、階段器具で以下の訓練。

  1. 昇りでの足の運び方
  2. 横向きで左脚を軸足に、右脚を一段、二段と上げる作業

最後に歩行器を使っての一周約 30m コースを二周。一周目は素のまま。二周目は足の擦りを改善するため、かかとを固定する簡易ギプスを左足に装着し、重心移動の指導を受けつつ。

以上約一時間みっちり。訓練している本人はもちろん、それを支える療法士さんも肉体労働。K さんは小柄な女性だからなおさら大変だろう。

訓練後、病室まで歩行器で歩き。ベッドへ戻るまでが訓練です。

病室で K さんと話す。曰く、筋力の低下、感覚の鈍化、注意力の低下が見られるという。今日の訓練を見ていてもまったく同じ感想。皮膚の触覚などはかなり回復している。しかし今自分がどれくらいの力をかけているのか、膝や足首などがどの位置、姿勢にあるのか、といった感覚がまだまだ鈍い。歩行訓練でもつい膝が曲がってしまい、膝の曲げ伸ばし動作も大雑把でゆっくり行なうのが難しい。そのわりに左つま先は突っ張っており、無駄な力みが見られる。これは右視床部出血により大脳への感覚入力に障害が生じたことから予想出来たこと。動きとその感覚とのフィードバック関数が発症前から変わってしまった以上、時間をかけてでも修正していくしかない。

また、自宅の手すり取り付けについて、まだどこまで回復するか明らかでないこと、取り付ける段になったら過不足がないように家の平面図を見せて欲しい、とのこと。こちらとしてもアドバイスはありがたいのでさしあたり準備だけしておくことに。

ちなみに K さんはわりとずばずば言う人で、おふくろが指示に従わず危ない動作をしたときなどとっくりと叱ってくれる。ありがたいことである。

通りがかった院長先生に脳の MRA 写真を見せてもらったあと帰宅。


二月十日

リハビリ見学 @2010-02-10

昼、リハビリの様子を見学するため病院へ。今日は作業療法の訓練を見る。

作業療法見学

車いすに乗り、二階の作業療法室へ。担当は J さん。ベッドに仰向けになり、以下の項目。

  1. 問診しながらの血圧測定
  2. 左腕、左手の関節マッサージ
  3. 腹筋運動
  4. 両手を組んで左右の目標点へ腕を伸ばす運動
  5. 腕を上げる運動
  6. 腕を広げる運動
  7. 腕を上に伸ばし肩を上げる運動

次に車いすに乗り、手すりの前まで移動。手すりを頼りに立ち、腰に巻かれたゴムのヒモを腿まで下ろしたり腰まで上げたり。何の訓練かと思ったら「トイレでのズボンの上げ下げです」と教えてくれた。なるほどと膝を打つ。

今度はテーブルに移り以下の作業

  1. 台にはめられた木の棒を抜いていく作業
  2. 抜いた木の棒を元の台に差していく作業
  3. 鉛筆で迷路を解く作業

ここまで計約四十分。おおむね言語療法と理学療法それぞれの訓練を掛け合わせた感じ。具体的な作業を行なう中では身体的な不全よりも判断力、注意力の欠如が目立つ。

病室までは車いすで自力走行。これも作業訓練の一つのようだ。

車いすの変更

作業療法見学中、 J さんにレンタル車いすの変更をお願いした。前日に聞いた理学療法士の S さんからの提案に沿った形。

転院当初にレンタルした車いすはおふくろの体格には大きく重たくて動きにくいため、しばらくはリハビリ科から小型のものを借りていたが、他にも使いたい患者が現われた。この際、レンタル料金は上がるが小型で軽い車いすにしてはどうかという提案。

大きさについてはタオルやクッションを詰めることである程度身体に合わせることは可能だが、重さを軽くすることはできない。自走するにも変な力のかけ方をするのは良くないし、動くのが億劫になられるのもやっかいだ。無駄な力を使わず気持ちよく乗ってもらうためにも軽い小型の方が良いだろう、という判断。こうして高い品物を勧めるのは上手い方法だな、と思わないでもないがそこはそれ。

なにか作業をするにあたってまず考えてから取りかかるよう言ってから帰宅。


二月十四日

面会 @2010-02-14

午後におふくろの面会。

先日の血液検査の結果をもらう。赤血球、白血球の量が少なめだがおそらく腎不全による骨髄の造血作用低下だろう。すでに血液透析の最後に造血ホルモンを入れてもらっているはず。心配ない。この他の検査値はおおむね良好。カリウム、リンは基準値を下回るほど。いかに自宅での食事管理がいいかげんだったかわかる。

リハビリは先日見学したばかりなので聞くこともなし。訓練の時間割が一部変更になっていたので書き留めておく。

帰りがけに姉の家の郵便受けへ訓練時間割変更メモを投函して帰宅。


二月二十一日

一時外出 @2010-02-21

おふくろの一時外出一日目。朝食後から夕食前まで。

前日に療法士さん二人から諸注意のプリントと助言をもらっていたおかげで戸惑うことこそ少なかったものの、車の乗り降りはもちろんのことトイレ一つにしても一仕事。気力体力共にごっそりと消耗。昼食前に打つ速効性インスリンを受け取りそこねて取りに行くハプニングなども。

確定申告関連の作業が早めにまとまったので、車いすに敷くクッションの購入にニトリへ寄りつつ病院へ送る。

仕事とはいえ病院の職員の方々には頭が下がる思い。


二月二十二日

一時外出 @2010-02-22

おふくろの一時外出二日目。

昨日のくりかえし、と思っていたがさにあらず。目を離したすきに思いきり危ない行動をしてくれた。注意欠如というより油断。おまけに親父の介助がまるでなっていない。俺の介助作業を見ていてもまるで頭に入っていないようだ。こんなことでは早晩怪我をする。

遅れるよりは、ということで早めに病院へ送りミッション完了。

課題多し。

TAGUCHI "SP48K" Nobuaki <mailto: sp48k@t12i.net>
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