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ザウ絵の描き方
-Process for painting w/ ZAURUS

『PrismPaint2.0』編 -"PrismPaint2.0" part-

ここでは、VGA ザウルス MI-EX1/TR1 用 16 bit カラーペイントツール『PrismPaint2.0』(現在 3.0 へ ver.up)を使った自分なりの描き方に関するメモを自身の整理も兼ねて簡単に纏めてあります。実のところ道具としてまだ制御し切れていなかった部分が多く、描き方と言うより「何を考えて描いていたか」の記録と言った方が合っている内容です。

きちんとした描き方や作画例を参照したい場合は『PrismPaint(西木的)塗り方レポート』へどうぞ。自分も少なからず影響を受けています。

制作工程

『PrismPaint 2.0』による自己流お絵描きの簡単な手順説明。サンプルには落描き 四拾番を使用。当文書読込時におけるデータ容量軽減の為、表示用サンプル画像は 50% サイズ。100% サイズの画像は表示用サンプル画像よりリンクしてあるので必要に応じて参照されたし。なおいずれの画像も色は未調整。

Process 1 : 線画

始めに背景レイヤ上で線画を描く。
【線画段階】(paint_process1.jpg)

ブラシの色と太さは起動時の(黒、1px. 幅)の状態で不透明度を 20% に設定。あらかじめ前景レイヤに簡単な補助線を描いておき、鉛筆でラフスケッチをするように短いストロークで描いていく(サンプル画像では補助線を消してある)。失敗した線は中程度のサイズにした消しゴムで消し、また描き直す。全体としてかなりラフに、多少のはみ出しやケバ立ちは気にせず描いていく。

ちなみに『ざうすけ』編とは違い、下描きは描かない。カラーイラストにおける線画は重要度が低く、またあまり出しゃばるものではないと考えているので(細かい事は『メモ』で後述予定…は未定)。

それと線画段階なのに頬に紅を引いているのは、多少でも愛嬌や愛らしさを付けるのが目的。この先、苦手な「色塗り」という長い行程を経て完成までこぎ着けるにはこれくらいの事はして愛着をつけておかないと気力が続かない、と言うのが正直なところ。

Process 2 : 下塗り(人物)

線画が描き終わったら次は人物の下塗り。
【下塗り段階】(paint_process2.jpg)

水彩レイヤに切り替え、不透明度 100% の状態で各部をその基本色で塗る。ブラシの大きさは塗る場所に合わせて適宜変更。下塗りする目的の一つとして塗りムラを作らないことが挙げられる。なおサンプルにおける塗り順番は薄いところから順に顔、髪、瞳、浴衣、帯。あとおまけで唇。

塗る際はカラースライダーで作成した色を一旦、白紙部分で試し塗りしてチェックする。作成した色はメニューバーでも表示されるが、実際に広い領域に塗る、或いは塗り重ねてみるという作業をした方が本当にその色で良いのかを判断しやすい。

また、試し塗りには副次的効果もある。不透明度を下げてみたり同じ色や別の色と重ねてみたりすると、たまに意図せず当初の思惑より好ましい色が出来る。その色は勿論決定ボタンを押してスポイトで吸い出して採用する。つまり偶然に頼っているのだが、手段はどうあれ欲しい色を手に入れられれば勝ち。

とはいえ、要は自分の色作りが下手なだけで、本来は塗りたい色をカラースライダーで直接作れればそれに越したことはない。

Process 3 : 重ね塗り(人物)

下塗りが終わったら今度はその上から人物の陰影や質感を出すために重ね塗り。
【重ね塗り段階】(paint_process3.jpg)

使用レイヤは引き続き水彩レイヤ。下塗りの色をスポイトで取り、若干濃い目に調整後、不透明度 10%〜30% の設定で各部を塗り重ねる。一部例外を除き、一回塗り重ねる毎にカラースライダーで少しずつ濃くしていった。

髪は中サイズのブラシを使い、塗り重ねる毎に(=濃くする毎に)短めのストロークで。あまり水彩レイヤで重ねすぎると色は濃くなるよりも濁ったりくすんでいく傾向が見られるのでせいぜい 3,4 回。濃くしたいなら重ね続けるよりも一度乾燥ボタンで乾燥させてから塗った方が良い様子。眉はそうして塗った。

瞳孔部分は少々悩んだ末、大きめに塗る。中程度のブラシでザッとひと塗りして、以後上に向かって濃くなっていく様に塗り重ねる。背景レイヤ側でも中性灰色を同様に塗って効果を足してみた。終わったら消しゴムで控え目にキャッチライトを入れる。なんとなく生気が宿った気がしてちょっと嬉しくなる。

顔、首の陰影は西木さんに以前教わった方法でグラデーションにしようとしたものの、失敗。要は中間の色というものが上手く作れないのだが、ひとえに修練が足りないだけ。

浴衣の陰影と帯は太めのブラシで気軽にザクッとひと塗り。そのあと色を少し濃い目に、ブラシを細めに変え、濃い陰影部分をもうひと塗り。浴衣の模様は不透明度 100% で塗ったが、どうにも染め物らしい色が出せず惨敗。

Process 4 : 背景

人物の塗りが済んだら背景。
【背景段階】」(paint_process4.jpg)

まず前準備として、試し塗りの跡を地道に消しゴムで消してから、これまでの作業内容である背景レイヤと水彩レイヤをレイヤ統合ボタンで背景レイヤにまとめ、さらにレイヤ入れ替えボタンで前景レイヤへ移す。これによって空いた水彩レイヤと背景レイヤを使って今度は背景を描く。

ディテイルのある風景などを描く場合、人物と同様に Process 1 〜 3 の手順を踏むが、今回はシンプルにしたかったので単一色で纏める事に。まず黒に青を若干入れた色で、不透明度を 10% にして全画面塗りつぶしボタンを使い背景レイヤを 2 回塗りつぶす。これだけでは寂しいので、明るめの中性灰色を不透明度 100% にして水彩レイヤに文字を書き入れた。

あと、黒を 50% 不透明度にして小さいブラシで目の輪郭線と睫毛を数回なぞる。他の線は見え辛いくらいの薄さで構わないが、目はコントラストを上げてむしろ強調したい。類似例として、写真のポートレイト撮影でもモデルの近い方の目、それも出来ればその睫毛に焦点を合わせる(語弊があるかも知れないが、レンズ工学的には「焦点が合う」≒「コントラストが上がる」)。(ちなみに Process 3 でやるべきだった事。単に忘れていた。)

それからまぶたの下を中サイズのブラシを使って薄目の中性灰色でさっとひと塗りし、まぶたによる陰影をつける。(これも Process 3 でやるべきだった事。頭悪い)

と、ここまで作業してから 2 つの失敗に気づく。1 つは陰影付け。共襟右側の影の付け方が光源を無視している。もう 1 つは下塗り。実サイズ画像を見ないと分かりづらいが、共襟から右肩、袖に掛けて背景との間に白っぽい境界線らしきものが見える。実は下塗りが覆いきれていなかった線画。どちらも単なる不注意でかなり痛い。前者はスポイトで必要な色を取って問題箇所をズームし、塗り直して修正、後者は 8 倍ルーペで拡大し、消しゴムで残っていた線画を消して修正。

Process 5 : 完成

諸々の修正を済ませ、おまけで頬の赤みを足したら、とりあえず完成。
【完成】(paint_process5.jpg)

まずは作業履歴ファイル(何の事かは『ざうすけ』編のメモを参照)と一緒に、バックアップも兼ねて PC へコピー。Photoshop で開いて MI-TR1 との色の違いにガックリしつつ、色相とコントラストを調整して多少なりとも MI-TR1 での表示に近づける。(詳細は 2001/07/29 の diary を参照)

色調整が済んだら 100%, 50% 各サイズで JPEG 形式のファイルを出力(Web などで使用)。マスターデータの変更は保存せず Photoshop を終了。

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TAGUCHI "SP48K" Nobuaki <mailto: sp48k@t12i.net>
WebSite URI: http://sp48k.t12i.net/