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一言半句
-Diary-

平成十二年 弥生-2000 March-


三月四日 Deformation(2)

前回から大分経ち、友人から続きを訊かれたりしたので、まだ文章が固まったわけではないが続きを書き綴ってみようと思う。

前回の終わりの方で以下のような文を書いた。

服飾や化粧は元来誇張を主とした物ではあるが、それにしても行き過ぎでは、と言う感が強い。思うに、彼女ら年齢層の美的感覚に対してあそこまでの誇張を良しとする旨の刷り込みが有ったのではないか?と考えるが、どうだろう。

結論から言ってしまえば、この「刷り込み」、自分は「漫画、アニメーション」ではないかと思う。が、おそらく「何だ、つまらん」という幻滅や「それは違うだろう」という反論が多いのではなかろうか。それは当然の話で、考えた自身でもつまらないと思うし、絶対の自信が有る訳でもない。ただ、全く理由無い思いつき、と言う訳でもないので、その結論に至った思考過程などを少々。

まず、多くの人達に影響を与えられるもの、となると公共のメディア、しかも彼女らの年齢層に、と考えていくと取り敢えずTVのドラマ、バラエティ、アニメーション、雑誌等の漫画に辿り着いた。しかし問題は「過大誇張」と言う事。過去流行したファッションと比較しても、あそこまで突き抜けた物はそうそう無いと思う。そう言った影響を与える物はドラマには無さそうなので候補から外す。対して、バラエティはコメディアンの化粧や着ぐるみ等があるし、アニメーション、漫画は言うまでもない。しかし、バラエティ、アニメーション、漫画も自分たちやそれ以上の年齢層から有った。ではどこが違うのか。

バラエティを考えてみると、彼女らでは「ウッチャンナンチャン」や「ダウンタウン」以降のコメディアンが司会する番組が対象となるだろう。確かに奇抜な化粧や着ぐるみ等を着て登場しているが、あの手の物なら自分たちの世代でも「俺たちひょうきん族」や「8時だよ全員集合」等が有った。それに視覚的に系統として繋げられそうな物が見あたらない。

では漫画、アニメーションはどうか?と、考えてみたが思えば結構範囲が広い。自分も漫画は良く読むが、好みが偏っているため全般のジャンルを知っているわけではない。また、TVはあまり観ない質(たち)なのでアニメーションはほとんど分からない。ここで思考を進めることが出来ず、しばらくpendingしていたが、ある時ふと思い当たる物が出てきた。『SDキャラ』と言うヤツだ。既存する通常の頭身キャラクターを二〜三頭身にディフォルメしたもので、全体に対して頭と足が異常に大きい。顔のパーツも目と口が大きくされている。確か自分が高校か大学の辺りから見られるようになった気がする(もう少し早いかも知れないが)。これだと今までになかった存在であるし、出現時期も彼女らに影響を与え得る。そして誇張されている箇所が彼女らの誇張箇所とおおよそ通ずる。

自分が思いつく限りでは、結局この辺りが影響源ではないかと考えるに至った。

しかし、この結論には弱点もある。実は「女の子向けのSDキャラ」と言う物を自分は知らないのだ。もちろん女の子が「男の子向け」を見ていても不思議ではないのだが、「女の子向け」の物の方が影響力が強いのは言うまでもない。それを例示できないのは理由として提示するにおいて説得力不足が否めない。全く以て中途半端である。

ご存じの方がいればご教示願いたいところだが、如何だろう?


三月二十八日 Portable Telephone

弊所BBSにて前回の話について感想を書いてくださったJESICAさんから、携帯電話について「最近、Mailの送受信や、iModeを始めとする情報端末としての位置づけに、少々興味を持ってきていたりもしています。」と言うご意見を頂いた。たしかに最近の携帯電話についてはその多機能ぶりに目を見張るものがあり、自分もその点について少なからず興味はある。

しかしながら、自分は現時点では携帯電話をあくまで通信端末としてしか利用していない。その理由は2つある。

1つは「機能の不完全さ」。確かに情報端末として高機能、多機能になってきてはいるものの、自分から見るとまだまだ不完全。情報端末として使うからには、自分が持つ情報は全てでないにしろおおよそ一通り扱えないと、情報の一貫性の欠如や分断、欠損が生じてしまい、その端末に入っている情報の信頼性が落ちてしまう。これでは情報端末の意味が無い。

また表現力の貧困さも問題有り。文字はともかく画像表現力が弱い。iモードやEZwebなどそれなりの機能とそれに対応したコンテンツもあるようだが、逆に言えば対応していないコンテンツに対しては力不足が否めない。そして自分個人が利用する限りにおいては、求める情報の有るコンテンツはそれらに対して対応していない事の方が多い。

そして容量。具体的に各機種のスペックを詳細に調べたわけでは無いが、自分としてはどう考えても不足するに違いないと思う。というのも最近は情報を紙で持つことが少なくなり、PC or PDA上でプレインテキストや画像、HTML文書と言った形で持つことが多いのだ。これらを一通り、と考えただけでオーバーフローは想像に難くない。サーバ側でデータをストアし必要に応じて端末から呼び出す、という考えもあるが現在のインフラ環境では大容量のデータに対して実用的ではないと思われる。

他にも細かいところは幾つか有るものの、機能面での主な理由はこれくらいだろうか*1

もう1つは「操作のしづらさ」。機能の多様化に伴ってボタンだけでなくスティック、ダイアル等操作性向上の為に新デバイスが採用されているものの、個人的には使いづらいことこの上ない。文字入力時のキー連続押しはともかく、機能キーとの組み合わせやメニューの深層化、果ては番号による機能呼び出しまでとなると、とてもではないが覚えきれないし、操作が複雑化して煩わしく感じる。実際に自分が使用しているPHS(NTT Personal PALDIO S341)にも結構な機能が盛り込まれているが、通常通話ならびにNotePC or PDAによるInternet接続時のDCEとしてしか用を為していない。ごく偶に『着メロ』と『きゃらトーク(ショートメッセージ機能)』で遊ぶ程度だろうか。

元来、自分としては1つのスイッチに複数の機能を割り付ける、と言う設計はあまり好きではない。うまく設計しないと使う際に簡単かつ直感的操作で、という訳にいかないからだ。外出時に使うからには説明書を携行するのは無粋だし、大概はゆっくりと操作できる環境ではないのだから。理想を言えば1つのスイッチには1つの機能がベストだ。*2

さて、以上の理由から自分は現在の携帯電話を情報端末として扱っていないのだが、かと言って絶望も無視もしていない。冒頭に「少なからず興味はある」と書いたとおり、期待を持ってその進歩を観察している。何故なら、自分の要望を満たす物が出来れば外出時におけるPIM環境が現状よりもかなりシンプルでスマートに出来るからだ。

余談だが、現在、外出時のPIM環境はSHARP MI-310(通称ザウルスカラーポケット)をメインとしている。*3 これは「PDAふぇち」の某氏をして「良くできている」と言わしめる代物だ。自分の用途を考えると、暫くはこれを越える機体は出てこないのではないかとさえ思える。*4

閑話休題。

それにしても早く自分が満足できるPIM機能を持った携帯電話が出て欲しいと思う。
外出時にバッグへ入れる電子ガジェットが減れば、きっと自分の肩こりも幾分は軽減するだろうに。

注釈:

*1:これらに対して一応の対応策は考えられる。情報の信頼性云々についてはPDAが持つPCとのデータ同期機能に相当する物が欲しい。(データバックアップという意味も含めて)また表現力については表示画面の拡大で対応できると思う。(京セラのデータスコープ辺りがイメージ的に相当する)。容量についてはメモリ容量とソフトのUpgrade如何だろう。

*2:もちろん理想であって、実際はそんなことが出来るほど携帯電話は大きく出来ない(現在の最新機種は小さすぎるきらいもあるが)。差し当たった対応策としてはタッチパネル式の液晶画面とペアにしたペンデバイスにグラフィカルかつスマートなメニュー構成と言ったところだが、個人的には今まで見たこともないようなエポックメイキングな小型入力デバイスの登場にも期待したい。

*3:カラー液晶でありながら従来のモノクロ液晶版ザウルスとほぼ同等のサイズ、重量を持ち、使用電池も通常の単三アルカリ電池で十分な駆動時間が得られるという、PDAとしてはかなり優秀な機体。機能面でも必要十分なPIM関連ソフトやPCとのデータ交換機能、豊富なアドインソフト、そして使い易くも充実したe-mail, www(何故かtelnetまでも)の巡回、閲覧機能を備えている。さらに、自分の持つPHS(S341)にはCFサイズのデータカード部が有り、これをMI-310のCFスロットに差すだけでPIAFSによるInternet接続環境が出来る。コンポーネントとしては恐らく最小、最少な接続環境の一つだろう。

*4:現在、MI-310の後継最新機種としてMI-C1があるが、専用充電池化(=外出時、万一電池が切れた場合の継続使用不可)や幾つかの機能削減と言うデメリットを考えると、処理の高速化やユーザーインターフェイス改良、新規機能等のメリットを考慮しても個人的にはMI-310へ軍配を揚げてしまう。

TAGUCHI "SP48K" Nobuaki <mailto: sp48k@t12i.net>
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