某月某日、某市立図書館へ。
蔵書一覧を精査するも捜し物無く、溜め息と共に玄関をくぐる。
ふと、うつむき気味の目に映る、一匹の犬。
綱を繋がれ、ポツリと座る、恐らくは主を待つ姿。
おもむろに近付き、目の前にしゃがみ込む。
尻尾を振り鼻を突き出しこそすれ、怯える様子はない。
きっと、愛されている。
以前とあるカメラ雑誌に「動物と子供を撮るべからず」とあった。
「一挙一動が絵になり容易に良い写真が撮れる為、技術上達しずらい」
それが理由。
展覧会に出展するような、芸術性の高い写真を目指す場合それは正解だろう。
目の前には無垢な目をした犬が一匹。
ウエストバッグには Nikon COOLPIX950 が一台。
観た者が美しいと思うのが写真なら、撮った者が微笑ましく思えるのも写真。
目の前には無垢な目をした犬が一匹。
手には Nikon COOLPIX950 が一台。