Misc. of "T2U"
- 『Treating 2U』アレコレ -


≪Chap. 2.≫ Where is BAD END in "T2U" ?

 第二回はTreating 2Uにおけるバッドエンドについて。相変わらず、めっさ偏ってます(笑)

≪Chap. 2.1.≫ Definition of BAD END in ADV game

 一般に、アドベンチャーゲーム(以降 ADVG と略称)にはそのシナリオやエンディングに幾つかのバリエーションがあります。「マルチエンディング」と呼ばれるヤツですね。それらエンディングの中で「バッドエンド」と呼ばれるモノがあります。自分が Play した ADVG から例を挙げれば、『雫』であれば「ハサミ END」、『To Heart』であれば「雅史 END」などと言われるものがそれに当たるかと。
 ただ、一言で「バッドエンド」と言っても、ゲームによってその内容は千差万別。ちょっと思いつくまま箇条書きにしてみましょう。

 …随分と偏っている気がしますが(汗)それはともかく。こんな具合で、具体的な事柄では一括りに出来ません。
 じゃあ、何を以て「バッドエンド」? と考えると、結局はそう判断した Player の印象を基準とするしかない訳で。仕方なくまたウダウダと考えて、出てきた答えは、
「Player に不満/不本意と感じさせるエンディング」
というものでした。「イヤ、それはちがうっ!」と思った人は掲示板なりメールなりで自分あてにガツンと反論をひとつ(笑)

 とりあえずは上記の定義を以て「バッドエンド」とし、話を進めていきます。

≪Chap. 2.2.≫ In the case of "T2U"

 それではTreating 2Uにおける「バッドエンド」について考えてみましょう。Treating 2Uにも ADVG のご多分に漏れず、複数のシナリオがあります。具体的には以下の七つです。

  1. 霞夜 END
  2. 郁乃 END
  3. 愛 END
  4. 誠美さん END
  5. 杏菜 END
  6. ル子 END
  7. 伊之助 END

 上記のうち、1 〜 5 については「ハッピーエンド」という判断でまず異論のある方はいないでしょう。3 に対して「女の尻に敷かれているようでは漢とは言えん」とか、5 に対して「○○(伏せ字(^_^;)なくなった伊之助なんて伊之助じゃない」って人だって、愛の「コーヒーってこんな味だったね」って台詞や、一度聴いたきりのそれをクセまでも再現して伊之助の代わりに××(伏せ字(^_^;)する杏菜と、その傍らで満足げにギターを弾く伊之助の姿を思い出したら、「バッドエンド」なんて言わないと思いますけど(笑)

 で、残るは 6, 7 。順に考えてみましょう。

 まずは 6 の「ル子 END」。この娘はゲーム本編では明言されていませんが、見た目から小学校低学年か中学年、年齢にしてせいぜい十歳足らずといったところ(シナリオからの推測では八歳)。「そーいう趣味(笑)」の方はともかく、えっちなんぞとんでもなく。ストーリーも入院中の伊之助とは、家の事情で遠方に引っ越しの為にお別れ、十年後に訪ねてきて再会、というところまでしか描かれていません。Play した人の中には「その先」が描かれていない事を含むシナリオの不十分さや、えっちが無かった事について、不満を持たれるかも知れません。

 でも、病弱で学校に行けないせいであまり友達が出来ず、内向的で臆病になっていたル子が、伊之助と出会った事をきっかけにして次第に心を開いていく、その様を描いたシナリオはTreating 2Uのテーマ(と自分が勝手に思っている)「癒し」であり、なかなかどうして、良いものだと思うんですが。最後はきちんと「自分の意志」で伊之助に会いに来てますし。「その先」が描かれていないのは、あくまで「描かれていない」だけでしょう。きっとその後、ル子の気持ちはちゃんと伊之助に伝わって……以下略(爆)。スマン建、キミにル子はやれぬのダ(笑)
 上記の「描かれていない」事や「えっちが無い」事にご不満の貴兄には いっけ さんの書かれた ShortStory 「初恋の行方」を読むことをお勧めしておきましょう。ほら、不満解消(笑)
 以上から、「ル子 END」に不満は無し。(かなり強引な論理です:ドッペルSP48K)

 次に 7 の「伊之助 END」ですが……。恐らくはこれを「バッドエンド」と考える人が多いでしょう。想いを寄せ、また寄せてくれる人の気持ちを振りきって歌に生き、そして……、という伊之助の生き方には、許せない気持ちや悔しい気持ちを持っても何の不思議もなく。

 しかし、そう感じ、それ故に「バッドエンド」とした方々に問います。「伊之助は、不幸せでしたか?」と。

 たしかに伊之助が選択した人生は、愛する人と共に生きていく人生からすれば残念な結末かも知れません。また、結果として想いを寄せてくれる人の気持ちを無下にし、その人を不幸にしてしまったかも知れません。きっと”人の生き方”としてはあまり誉められたものではないでしょう。
 かといってそれが伊之助にとって不幸せだった、とは自分は思えません。伊之助は『漢』であり、自分にとって大事なものに『一心不乱』。そんな彼が「愛する人」か「歌」かという選択を迫られた時、もちろん前者も大事でしょうが、子供の頃から夢見続け、彼にとって「命」と等しいまでの価値を持つ後者を選んだとしても致し方ないと思います。その選択によって、彼は望んで止まなかった「沢山の人たちに自分の歌を聴いてもらう」事が出来ます。満足だろうと思います。きっと後悔なんて無いでしょう。そう考えると、恐らく彼は幸せだったんじゃないかなぁ、と。
 そして、そんな彼の生き方を、”人の生き方”としては無理でも、”漢の生き方”として誉めてやりたいな、と。

 そんな事を思わせてくれる「伊之助 END」に、「バッドエンド」というレッテルを貼る術を、自分は持っていないんですが。

≪Chap. 2.3.≫ Nothing is BAD END in "T2U" !

 ここまで延々と文章を連ねてきましたが、結局何が言いたかったかというと、
Treating 2Uにはバッドエンドは無い」
という事です。

 もちろんこれに異論を唱える人もいるでしょう。それはシナリオ解釈の違いであったり、人生観の違いであったり、ゲームに対するスタンスの違いであったり、要は「モノの見方」の違いだと思います。それについては否定はしません、というか色々な見方があった方が面白い(笑) そう言う意見、随時募集中
 ただ、そんな人も自分のような考えがある事は認めて下さい。で、頭の隅にそれを置いときながらTreating 2Uを Replay してもらえたら、きっと今までよりちょっと広がりを持って楽しめるんではないかなぁ、と。

 それと、これを読んでTreating 2Uに興味を持ち、店頭でパッケージを手に取る人がいてくれたら、嬉しいなぁ、と。
 そう、思ってるんですけどね(笑)


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